片山進悟師、召天

「死に至るまで忠実でありなさい。」黙示録2:10

2006年9月7日山陽教会にて

 山陽教会から車で三分。
 隣の教会、と呼ぶのがふさわしい、桜が丘キリスト教会で行われた葬儀には、山陽教会からも多くの方が参列されました。
 片山師は、私たちにとって良き隣人であり、私にとっては敬愛する同労者でした。

 元海上自衛隊幕僚という異色の経歴を持つ彼は、謹厳で誠実、そして朗らかな主のしもべでした。
 エリート軍人というのは、こういう人種なのかというのを、親しい交わりの中で教えられたことでした。

 子どもの時に読んだ本で特攻隊に憧れ、国防のために命をかけたい、と防衛大に進まれたそうです。殉死者の多い水上機の部隊をあえて選択し、人命救助や、領海侵犯する他国原潜の追尾など、様々な任務で部隊を率いたと聞きました。

 50代で幕僚に昇進したのですが、そこでクリスチャンとなり、あっさり除隊し、宣教師を志したのです。
 おそらく、戦後の日本の歴史で、幕僚をやめて献身した方は極めて稀でしょう。
 自衛隊経験のあるクリスチャンたちが、彼に問うたことがあります。「そのまま自衛隊にいれば、将来も老後も約束されていたのに、どうして辞める決断ができたんですか?」と。
 彼はこともなげに返答しました。「私は軍人です。本当の司令官であるイエス様に出会えました。軍人が司令官に従うのは当たり前のことです。」と。

 その後渡米し、ウィクリフという宣教団体で技術宣教師として働き、引退後は岡山に帰ってきて、桜ヶ丘キリスト教会に着任されました。

 月に一度、近隣の牧師たちとの祈り会を持ちましたが、語り合い、祈り合うほどに、そのさっぱりとした人柄に私たちは魅了されました。

 終戦記念日が近づくと、いつも思い出す彼の言葉があります。
 「戦後70年、なぜ日本が戦争をせずに済んだのか。自衛隊の抑止力のおかげではないし、平和憲法の効果でもない。アメリカの威力でもない。ただ単に、神さまがこの国を戦争から守ってくれたのです。そこに感謝しなくてはならない。」
 こんな、はっとさせられる気づきを、いつも与えてくださる方でした。
 
 二週間ほど前、許可を頂いて病床を見舞ったときは、ガンは残酷なほどに進行し、本当に痩せこけていましたが、彼の心はずっと牧師のままでした。弱々しい声でしたが、教会設立目前の桜が丘キリスト教会のこれからについて祈ってほしい、とおっしゃいました。
 体がここまで病んでも心は健やかなまま、ということがあるのだな、と教えられたことでした。

 そして、ついに8月3日、地上での任務を完了されたのです。

 海原を越え、雲海を飛んだ神さまの兵士は、ついに天上に帰還しました。
 彼が私に見せてくれた生き様、それはただ一語で表現できます。

 「忠誠」です。

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